本文へスキップ

抜いた歯は生えてきません.削った歯は元に戻せません。歯科治療は両刃の剣であることを理解して治療を受けてくださるようおねがいします.

TEL.03-3954-8844

〒161-0032 東京都新宿区中落合2-20-6

日本人の8割が歯周病というウソ


歯石がついているだけの人も歯周病の中に入ってしまっています

 ネット上で日本人の8割が歯周病にかかっているという記載をよく見かけますが、これは本当のことでしょうか.

 この数字の根拠となっているのは、平成17年の厚生労働省の歯科疾患実態調査です.(*)
 なぜこのように高い数値になったかというと、この調査では歯石が少しついている人も、歯肉に軽い炎症のある人も歯周病とカウントしてしまったからです.

 つまり健康歯肉を持つ人が全体の2割で、それ以外の8割の人をすべて歯周病と言っているわけです.(下図)

 そのことを、15~19歳の人たちに当てはめてみると、その人たちの7割近く、また、10~14歳でもほぼ半数が歯周病ということになっています.

 たしかに歯石がついていたり出血があれば、健康な歯周組織とはいえませんが、この状態と通常問題になる歯周病”とはまったく違った状態です.

 日本人の8割が、歯科治療の対象となるような歯周病に罹患しているわけではありません.



平成17年度歯科疾患実態調査のグラフ

《平成17年度歯科疾患実態調査のグラフ・8割の内訳》
(*)平成17年歯科疾患実態調査(厚労省ホームページ)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/62-17.html
 上の図で青く塗った部分(所見のない者)というのは歯石沈着も歯肉炎もない、まったくの健康な歯周組織の人です.

 この青い部分を除いた人たちが健康な歯周組織をもたない歯周病の人ということになるわけです.

 確かに20歳以上の人では、赤く塗った“歯周ポケット6mm"以上とモノクロ部分の合計は8割くらいになりそうです.

 しかし、20歳以上の人の棒グラフで一番広い面積を占めているのは白地に黒い点の“歯石の沈着”で、次が(歯周ポケットの存在しない)プロービング後の出血、つまり歯肉炎です.

 つまり、少しでも歯石沈着のある人や軽度の歯肉炎の人も歯周病とカウントして、「歯周病の人が8割」という数字が出てきているわけです.

 一般に子供から老人まで多くの人に歯石はついていますし、疲労が蓄積したり寝不足が続けば歯肉が多少腫れてしまうこともあります.それらの人もすべて歯周病ということにしているので、8割というとんでもない数値が出てきてしまったわけです.

 この表の5歳から14歳の棒グラフを見てみると、子供たちの多くに歯石沈着と歯肉の出血が認められることに気がつきます.
 つまり小学生と中学生の5割近くが歯周病に侵されていることになってしまいます.
 また、15歳から19歳の6割以上も歯周病ということになってしまいます.
 さらに5歳から9歳の乳歯列の子供の2割弱も歯周病ということになります.

 20歳未満の若年者が放っておくと抜けてしまうような歯周病に罹患しているわけではないことは常識的に考えても理解できると思います.
 
 日本人の8割に歯周病があるといっても、歯周組織に歯石がついているなどの何らかの所見のある人が含まれた数字で、歯がぬけおちてしまったり、全身疾患と関連したりする重度の歯周炎とはまったくかけ離れた数値であることを知っておいて欲しいと思います.


問題になるのは重度の歯周炎です


 歯周病で問題になるのは歯肉炎ではなく6mm以上のポケットのある歯周炎、それも8mmとか10mmといった深い歯周ポケットが何カ所も存在する重度歯周炎の場合です.

 上の図で行けば赤の部分のそのまた一部ということになるので、ほとんどの人はそれほど心配いりません.

 歯周病と言われても慌てないでください.

 ポケットがあるから、歯石が少し付いているからといって大騒ぎする歯科医がたくさんいるからです.

 歯周ポケット深さは血液検査の数値と違って、測る人によってその測定値は変わりますし、術者の“心持”によっても変わってきます.

 一カ所か二カ所「6mmのポケットがあります」といわれてもそれほど慌てる必要はありません.
《歯周ポケット》


重度歯周炎の割合はそれほど多くはありません

 世界中の人々を調べた研究で、中等度以上の歯周炎に罹患している人の割合は、1割程度と考えられています.(*1~3)

 歯が自然に抜けてしまうような超重度の歯周炎はさらにそのうちのごくわずかですから、「日本人の8割が歯周病」という数字を額面通りに受け取って、必要以上に不安に思う必要はありません.

 かえって心配なのは、ご自分が歯周病であると思いこみ、必要もない歯石除去やルートプレーニング、歯周外科手術を受けて、歯周組織を破壊されてしまうことです.

 定期検診ごとに歯石除去と称して歯根面をガリガリと未熟なスケーリングをしていると、健康なゾウゲ質まで削り取ってしまう心配があります.

 根面のデブライドメントは必要最小限、マイルドに行うのが原則です.

 歯周病に関与すると考えられている内毒素(リポ多糖・LPS・Lipopolysaccharide)はセメント質表層に付着しているにすぎないので、根面をガリガリする必要はないと考えられています.(*4~8)

 「歯科医院で過剰な介入を受けない方がよい」と私は考えています.

 *1)Brown LJ, Löe H. Prevalence, extent, severity and progression of periodontal disease.Periodontol 2000. 1993 Jun;2:57-71.
*2)歯周病学の概念におけるパラダイムシフト 歯界展望 1998-10
*3)Johnson NW, Griffiths GS, Wilton JM, Maiden MF, Curtis MA, Gillett IR, Wilson DT, Sterne JA.:Detection of high-risk groups and individuals for periodontal diseases.

*4)Aleo,J.J. et al."The presence and biologic activity of cementum-bond endotoxin.Journal of Periodontology" .Journal of Periodontology(1974)
「歯周疾患罹患歯のセメント質には内毒素が存在する」=病的セメントの除去を推奨した最初の論文=
*5)Moore,J et al ."The distribution of bacterial lipopolysaccharide(endotoxin) inrelation to periodontally involved root surface" .Journal of Clinical Periodontology(1986)
「セメント質の汚染物質は水洗とブラッシングで簡単にとれる」
*6)Nyman,S et al ."Role of "diseased" root cementum in healing following treatment of periodontal disease" .Journal of Clinical Periodontology(1988)
「感染セメント質を意図的に除去しようとする術式は必要ない」
*7)Hughes.F,Smales.FC ."The distribution and quantitation of cementum-bound lipopolysaccharide on periodontally diseased root surfaces of humanteeth" .Arch Oral Biol(1990)
「病的セメント質における内毒素の存在は低い密度で、内毒素自体の問題はそれほど大きくない」
*8)Corbet.E.F et al ."The Periodontally-involved root suruface" .Journal of Clinical Periodontology(1993)
「根面の一部を取り除くことより、根面からプラークを取り除くことが重要である」




トップページ


小西歯科医院の治療について

診療時間      
   月  火  水  木  金  土
AM   〇  〇  〇  /  〇  〇
PM   〇  〇  〇  /  〇  〇
AM|午前9:00~12:00
PM|午後2:00~5:00
 休診日|木・日・祝祭日

shop info店舗情報

小西歯科医院

〒161-0032
東京都新宿区中落合2-20-6
TEL.03-3954-8844
FAX.03-3952-4220
mail.pi5a-kns@asahi-net.or.jp