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抜いた歯は生えてきません.削った歯は元に戻せません。歯科治療は両刃の剣であることを理解して治療を受けてくださるようおねがいします.

TEL.03-3954-8844

〒161-0032 東京都新宿区中落合2-20-6

残す工夫、すべて試みる



 歯科治療は歯を抜くことからはじまったので、どうしても歯を簡単に抜いていまう傾向があります.

 しかし、1980年代に“片山式歯周病治療”が知れ渡るようになり、いっとき、“歯を抜かない治療”を目指す歯科医が増えてきました.

 それとともに、どのような歯なら抜いてよいのか、という疑問が頭をもたげてきました.
 歯を救うのに熱心な片山恒夫歯科医は、いったいどんなとき「いくらなんでもこの歯は救えない」と判断するのだろう。何人かの歯周病専門家が、いぶかる。そこで、この質問を片山さんにぶつけた。

「よく問われますが、簡単には答えられないんですわ」

 そこで根掘り葉掘りたずね、わかった要旨をご報告する。
 歯の根は、歯ぐき中の歯槽骨に埋まり、支えられている。歯周病で骨が溶けると、根の支えが減る。この様子はエックス線写真などでわかる。
 大ざっぱな指標として、片山さんは「患者にその気があれば、根が四分の一まで骨に埋まっている歯なら残せる」と自信を持っている。骨が、歯根の四分の三まで溶けてしまっているという状態だ。根が複数なら平均値を採る。一ヶ所極端に悪い所があっても構わない。うんとぐらぐらしている歯が多い。それでも、残せる。

 他の歯科医で、抜くと宣言された歯は、多くが「三分の一」という。多少ぐらつく程度で、十分救える歯だ。半分近くが残っていて抜くと言われた例もある。「エックス線写真を見せてもらえれば、患者でも見当がつきます」と片山さんはいう。
 さて、では残りが四分の一以下の場合はどうか。

「条件によりますねえ」急に悪くなったのは回復しやすい。比較的若ければ救いやすい。ずっと紹介した大石正人さんの歯は、この例だ。逆に、糖尿病だと骨が溶けやすい。他の歯とつなげて固定し、安静をはかれない「孤立した歯」は難しさが増す。それに患者の怠けぐせ。治療費の限界。患者の協力・・・・・。

 これらの条件のすべては、最初はわからない。だから「抜かずに」と希望されれば、ブラッシングや五十回噛み、呼吸法など養生の指導を始める。だんだん悪条件が重なるとわかってきたら?「そしたら悪条件を一つずつ取り除こうとしますな」糖尿病の治療を励ます。家族に協力を頼む。患者の怠け心を防ぐ。口の中の条件も、できる工夫をすべて試みる・・・・。「抜いてくれ」と来る患者には「抜かなくても治療できますがなあ・・・・」と反応をみる。きっかけをとらえて、片山式養生に誘導する

 つまり実際上、あきらめて抜くことはないのだ。片山さんのこの項の答えをもう一度吟味していただきたい。答えはすべて、「その人の歯を救うには・・・・」という発想から、口に出されたものだった。「抜かねば」などというあきらめの発想は片山さんの辞書にはないのである。「歯科医の責務は、あきらめて抜く基準を設定することではない。歯を残すために腕を磨くことです」

 この片山さんの努力の成果は、どうか。歯周病患者が百人近くいて、抜歯は年2〜3本にとどまる。実際上、美容上または症状のつらさから、強く義歯を望む患者に限られる。
 途中で来なくなる患者が、一割ほどいる。残りの九割の人々の歯は、まず失われずにすむ。「二年半前、六本固定して八年もっていた歯が、患者の糖尿病闘病の意欲喪失ののち、ぞろっと抜けた。この五年で、私の患者の歯が抜けたのは、これだけです」

 この片山方式の普及を、なんと多くの患者が望んでいることか。歯科医たちの開眼と、ふんばりを祈りたい。

=歯無しにならない話 P52-54 朝日新聞科学部 1984年発行=


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