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インプラントのトラブルは手術中におこるもの、術直後におこるもの、手術後しばらくしておこるもの、数年以上経過してからおこるものがあります. |
このページの目次 |
*術中のトラブル *術直後のトラブル *埋入後のトラブル *10年以上経過しておかしなことになってきたインプラント *術後20年後の悲惨なトラブル *インプラントのトラブルは生体に適応しないためにおこる |
手術中の重篤なトラブルとしては下歯槽神経やオトガイ神経などの神経の損傷、 インプラント体の上顎洞迷入や血管の損傷などがあります. 神経の損傷により激痛が治まらない、上顎洞に迷入したインプラント体を取り出す手術が大変だったというような悲惨な話は数限りありません. 重篤なトラブルの発現頻度は定かではありませんが、日本顎顔面インプラント学会の調査では79施設で3年の間に421件のトラブルを取り扱ったとの報告があります. 1件の診療所で1年の間に2件弱の重篤なトラブルを経験しているというのは決して無視することができない数字です. インプラントを埋入する骨の量が少ない時、上顎洞底挙上という処置を行うことがあります. オステオトームという器具で上顎洞底の骨をガンガン叩いて少しずつ骨折させ、インプラントが埋入できる骨量を確保する方法ですが、患者さんの中にはあまりの衝撃で脳震盪を起こす人もいるようです. しかし、この程度のことはトラブルのうちに入らないと考えているインプラント専門医がほとんどです. |
手術直後には出血や腫れ、痛みがでます. 痛みに関しては手術の内容や個人差がありますが、かなり痛みが激しいこともあります. 神経麻痺が残ることも多く報告されています. あごの骨には神経が通っているので、それを傷つけてしまって麻痺が残るわけです. 運がよければ、数週間で消失しますが、場合によっては長い間悩まされることもあります. 上顎のインプラント手術では上顎洞炎を引き起こすこともまれではありません. 耳鼻科領域でもインプラント性上顎洞炎の増加が問題になっているようです(*). 皮下出血によるアザなどが出ることもあります.これも短期間でなくなることもありますが、長年消えないこともあります. |
(*)インプラント術前・術後の副鼻腔炎トラブル、聖路加国際病院耳鼻咽喉科部長・柳清、ドクターサロン59巻9月号(8 . 2015) |
インプラントを埋入してからしばらくしてから起こるトラブルとしてはインプラントの脱落や、歯肉の中に埋まっているはずのインプラントの歯根部分が見えてくることなどがあります. 原因としてはインプラントが骨としっかり結合せず初期固定に失敗した、感染してインプラント周囲炎を引き起こしてしまったことなどが考えられます. インプラント体のトラブル また、インプラント自体が破損してしまう、あるいはインプラントにかぶせたクラウンがこわれてしまう、取れてしまうといったトラブルもあります. 機能回復できない 痛くて噛めない、発音がしにくい、見た目が悪い、頬や舌を噛んでしまう、食べ物がはさまってしまうなど、術前患者さんが考えていたものとは程遠い状態になってしまうこともあります. |
12、3年くらい前に埋入した前歯のインプラントがとんでもない位置になってしまったと訴えて来院した患者さんがいらっしゃいます. 当初は前歯4本がきれいに並んでいたのですが、年とともにインプラント2本と天然歯2本の位置関係がずれて、中切歯の後ろに側切歯が入り込んできてしまって、前後2列並んでいるような状態にになっているのです. 噛むこともできませんし、見た目も大変おかしくなっています. ただ、インプラント自体は骨にしっかり食い込んでいて、除去するのは難しい状態なので、涙をのんで経過観察ということになってしまいました. このようなトラブルは10年くらい前には想像もしていないことでした. 最初は成功と思われたインプラントも時間経過とともに大きなトラブルを起こすことが、インプラントの新たな問題点として持ちあがってきています. インプラントが生体の生理的変化にまったく適応できないことに気付いた一部のインプラント専門医は天然歯とインプラントが共存することが非常に難しいので、抜く必要のない歯を含めて天然歯をすべて抜歯ということをすることも多くなっているようです. インプラントのために健全な天然歯を抜いてしまうという考えられない事象が起こっているわけです. インプラントは良いことしか宣伝されていませんが、ネットなどで喧伝されているような素晴らしい治療法では決してありません. 少なくとも、インプラントが20年持ったとしても、天然歯が20年間そこに健全な状態で生えているのとはまったく違う意味合いであることは肝に銘じておくべきです. 口の中の状態が入れたときのまま20年間変わらないということはありえません. 10年後、20年後そして30年後どのようなトラブルが考えられ、それに対してどのような対策をとるのか、担当歯科医と十分相談してください. |
歯界展望2014年9月号に炎症が鼻腔や副鼻腔にまで広がってしまったために全身麻酔までしてインプラントを除去した症例報告が掲載されています. 約20年前に埋入したインプラントが『インプラント周囲炎による著明な上顎骨の吸収とともに鼻腔、上顎洞およびし篩骨洞への広範な炎症』を引き起こしたので、インプラントを除去したという報告です. 副鼻腔にまで炎症が広がって腫れあがった上顎は症例写真で見るだけでも痛々しく、X線写真で上顎洞と重なって映っているインプラント体にはまがまがしささえ感じます. このインプラントは『約20年前に埋入した』もので、『3年前からインプラント周囲から排膿する』ようになり、同時に鼻が詰まったような感じがしていましたが、最近になり上顎全体が腫れあがり、痛みも激しくなってきたということです. 処置は『耳鼻科と連携して全身麻酔下にて、インプラント除去術、内視鏡下両側鼻内副鼻腔手術、鼻中隔湾曲矯正術』をおこないました. 報告者はこの論文の最後で『(このような症例は)患者に対する肉体的、経済的負担が増大し、またそのために医事紛争に発展する危険性を含んでいる』、『(このような症例)に遭遇した際は、医事紛争に発展することがないように適切な対応が必要である』と再三にわたって『医事紛争』という用語を出して、注意を喚起しています. 表には出てこないのですが、予想以上にインプラントの医事紛争は多いのだろうと思います. インプラントが20年もてば、かなり長い経過であり、埋入した歯科医は胸を張って「成功しました」と言っていると思います. しかし、患者さんにとっては悲劇以外の何物でもありません. たとえ約20年経過したといっても、口の中だけでなく、鼻腔や上顎洞にまで炎症の範囲がひろがってしまい、全身麻酔で耳鼻科の手術まで受けなくてはならなくなってしまったインプラントを成功した歯科治療とは思わないでしょう. 全身麻酔でのインプラント除去がうまくいったとしても、その後の歯科的な機能回復、総義歯はとても難しくなります. 歯を大事に使いながら総義歯になった場合と比べると天と地ほどの差があります. 長い人生を考えるとインプラントの埋入はよくよく考えるべきだと思わざるをえません. |
所属している勉強会で8年ほど経過したインプラント症例の紹介がありました. 他院で埋入した3本のインプラントがまったく噛み合わなくなってしまっている. こんな状態で良いのだろうかという問題提起でした. 埋入直後は噛み合っていたはずのインプラントが、何年か使っているうちに隙間ができてしまって、上下の歯が噛み合わなくなってしまったわけです. 処置直後はあまり問題のなかったインプラントが時間が経つにつれ、いろいろなトラブルを起こすようになっていることが、最近あちらこちらで報告されています. この勉強会で報告された例のように、インプラントと歯が噛みあわなくなったり、隣の歯との間に隙間が生じてしまう(オープンコンタクト)トラブルはは日常茶飯事です. オープンコンタクトはインプラントの宿命といっているインプラントジストもいるくらいです. インプラントが噛みあわなくなったり、天然歯との位置関係がずれたりしてしまうのは、日々変化している生体にインプラントが適応できないことによって引き起こされると考えられます. 歯は使うことですり減り、歯周組織にはセメント質が添加され、骨が改造されるといった実にダイナミックな生理的変化を起こしています(図). しかし、インプラントは生体にとって異物であり、病理現象によって生体にくっついているので、このような歯周組織の生理的変化に適応することができないのです. 天然歯を傷つけるインプラント 逆にインプラントの咬合力が強すぎて、相対する天然歯がすり減る、あるいは歯が割れる(破折・はせつ)、動揺が増加するというようなトラブルも頻繁に起こっています. インプラントにはトラブルはないのですが、インプラントが天然歯の寿命を短くしてしまっているという本末転倒のことが起こっているわけです. |
図:加齢による歯と歯周組織の変化 Changeng in the hard dental tissues and the supporting tissues occur with age ULF POSSELT Physiology of Occlusion and Rehabilitation |
診療時間 | ||||||
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
AM | 〇 | 〇 | 〇 | / | 〇 | 〇 |
PM | 〇 | 〇 | 〇 | / | 〇 | 〇 |
AM|午前9:00〜12:00 PM|午後2:00〜5:00 |
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休診日|木・日・祝祭日 |
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