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片山式ブラッシング法は、その人の歯肉の炎症の程度や歯並び、歯周病の治癒過程、治療目的によって、歯ブラシの種類や磨き方を逐一変えていきます.

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〒161-0032 東京都新宿区中落合2-20-6

片山式ブラッシング法


このページのもくじ
片山式ブラッシング法

「突っ込み振るわせ磨き」と「フォーンズ法」

片山式ブラッシングの3原則

歯周病の治癒過程とブラッシング法
@治療開始期
A急性症状消失期
B歯間空隙現出期
C横一文字期
Dみかけの治癒期
E治癒


片山式ブラッシング法

 
 私たちが歯周病治療の一環として行っているのが片山式ブラッシング法です.

 片山式ブラッシング法は、その人の歯肉の炎症の程度や歯並び、治療目的によって、歯ブラシの種類や磨き方を変えていきます.

 片山式ブラッシングは時間も労力もかかるので、実践するのは大変ですが、その効果は顕著です.

 どの歯科医院に行っても抜かなければいけないと言われた重度歯周病も歯みがきだけで治してしまった”歯ブラシの奇跡”と呼ばれるような事例もあります.

《歯ブラシで重度歯周病を治す・歯ブラシの奇跡》



「突っ込み振るわせ磨き」と「フォーンズ法」

 片山式ブラッシング法は細菌のコントロールを目的とした“突っ込み振るわせ磨き(片山1990)”と歯肉マッサージを目的とする“フォーンズ法(Fones1916)”の2つの方法が基本になります.
 突っ込み振るわせ磨き  フォーンズ法
細菌のコントロール 歯ぐきのマッサージ
歯と歯の間に毛先を突っ込み、細かく振るわせます 歯肉に刺激を与えるようにゴシゴシ磨きます

 突っ込み振るわせ磨きは細菌のコントロールを目的としたブラッシングで、その人の歯肉の炎症の程度や歯並び、歯周病の治癒過程、治療目的によって、歯ブラシの種類や磨き方を逐一変えていきます.

 歯ブラシはそれぞれの歯肉の状態に合わせて、極軟毛1列、軟毛1列、軟毛2列、軟毛3列の4種類を使いわけます.

 フォーンズ法は歯肉に刺激を与えて血流をよくして、歯周組織を賦活するために行います.

 歯ブラシは歯肉の実力に合わせて3列の歯ブラシで磨きます.



突っ込み振るわせ磨き

 歯肉に激しい炎症のあるときのブラッシングは、患部に対するいたわりが重要なので絵筆ほどの軟らかさの歯ブラシをそっと歯肉にあてるブラッシングをします.

 急性症状が消退した時期から、プラークコントロールを主体にしたブラッシングに移行します.基本的には「突っ込み振るわせ磨き」というブラッシング方法を行います.

 このブラッシング法は歯間部に軟毛一列あるいは二列の歯ブラシを突っ込み、この毛束が歯間部から抜け出ないようにして、前後にブラシを小さく振動させる方法です.

 毛先が束になって歯間部に入り込みブラシを動かしてもびくともせず抜け出ない感じがベストです.

 上下顎すべての歯間部に毛先を突っ込み細かく振動させるのは大変難しい技術なので、それぞれの口の状況に合わせた突っ込み振るわせ磨きが必要となってきます.

フォーンズ法

   突っ込み震わせ磨きの効果が出て、歯肉の炎症がある程度治まってきたら、ブラッシングのポイントをプラークコントロールから歯肉に擦過刺激を与え、賦活することに移します.

 突っ込み振るわせ磨きも歯肉を賦活する役割を担いますが、歯肉の擦過刺激(歯肉マッサージ)を主たる目的としたブラッシングがフォーンズ法です.

 フォーンズ法は歯肉に刺激を与えて血流をよくして、歯周組織を賦活(ふかつ)するために行います.

 歯ブラシは歯肉の実力に合わせて3列の歯ブラシを使用します. 
 
頬側と唇側:歯を噛み合わせて大きな円を描くようにして上下の付着歯肉部までしっかりとブラッシングする方法です.
 
 
 上顎:咬合面および硬口蓋全体を前後に歯ブラシを動かしていきます.
 
 
下顎:舌側歯肉に平行線を描きながら前後にこするようにします.
 
 
   フォーンズ法を行って痛い部分がある場合は無理してフォーンズ法を行わず、突っ込み振るわせ磨きを徹底して行います.

 歯間空隙が徐々に回復して見かけの治癒を迎える頃にはフォーンズ法と突っ込み震わせ磨きの割合がほぼ半々となっていきます.



片山式ブラッシングの3原則

 
 片山式ブラッシング法を行うときに注意しなくてはならない点があります.

 “痛くしない”、”出血させない”、”歯みがき剤を使わない”の3点です.
《ブラッシングの3原則》



歯周病の治癒過程とブラッシング法

 
 歯肉の状態は炎症が消退するにつれその姿を変えていきます.

 重度歯周炎の場合、治療開始から治癒までその過程は6段階に分けられます.

 それぞれの段階で使用する歯ブラシとブラッシング方法を変えていきます.


 ここで解説する歯肉の治癒過程とブラッシングは重度歯周炎の方のものですが、歯肉炎、軽度、中等度の歯周炎のブラッシングもこれに準じて行います.

 あくまでおおまかな道筋ですので、個人々々によって細かい点は異なってきます.



@治療開始期

 治療開始期の歯肉は炎症をおこしています.

 浮腫を起こしてぷくっとふくれて、赤色 や赤紫色をしていることがほとんどです.

 膿瘍が形成されている場合もあります

 細菌の侵入に備えて、血管の透過性が増し白血球を含んだ液状成分が浸出するので、歯肉は浮腫をおこし、ブヨブヨぐちゅぐちゅしている感じになります.

 歯周炎が進行すると、歯周ポケットからの排膿や膿瘍を形成するようになります.昔でいう“歯槽膿漏”の状態です.

 また、白血球を多量に局所へ送る必要があるので、血管が拡張し数も増加します.
 その結果、循環障害を起こし、歯肉の色は健康なピンク色ではなく赤色(充血) や赤紫色(うっ血)を呈します.


ブラッシング

 治療開始期のブラッシングはプラークの除去ではなく、それ以上プラークを付着させないようにするのが目的です.

 この時期の歯肉は腫れあがっていて、出血しやすい状態なので、いきなり突っ込み振るわせ磨きを行うと、歯肉炎を助長させて、次の日には歯ブラシもあてられない状態になってしまういます.

 痛くなく出血させないようにやさしくブラッシングすることが重要です.

 最初の2,3日
 寝かせ磨き
 毛先を寝かせ気味にやさしく磨く

 歯ブラシの毛先を歯肉あてると痛い場合に、歯ブラシの腹をあてて、痛くないように磨きます.
   



次の2,3日
直角磨き
 毛先を直角にあてる

 毛先をあてても痛くなくなったら、毛先を歯と歯肉の境目に直角にあてるようにします.
 



次の2,3日
45度磨き
 直角に当てても痛みが無いようになったら、45度の角度で歯周ポケットに入るようにあてていきます
 


歯ブラシ


Kシリーズ歯ブラシ:K0
歯ブラシは絵筆ほどの硬さの極軟毛一列の歯ブラシを使用します.
 現在Kシリーズ歯ブラシは入手できないので、二列歯ブラシ(タフト二列歯ブラシ:SS)の一列分をペンチなどで抜きとるか、ハサミで切って使用しています.


A急性症状消失期

急性症状消失期になると歯肉の浮腫がとれて歯肉がしぼんだ感じになり、歯肉も少し退縮してきます.

 治療開始期のブラッシングを丁寧におこなっていると、歯肉の浮腫が消退して歯肉のブヨブヨ感がなくなってきます.

 細菌が少なくなると、それに応じて炎症性の細胞浸潤が治まって、歯肉の発赤腫脹が軽減されていきます.


ブラッシング

 急性症状が治まったら本格的に突っ込み振るわせ磨きを開始します.

 突っ込み振るわせ磨きは歯と歯の間の歯と歯肉の境目を目指して歯ブラシの毛先を突っ込み、前後に1〜1.5mm程度の幅で振動させるブラッシング法です.

 歯の表面の汚れをとろうとしてゴシゴシこするのではなく、歯周ポケットの中に空気を送り込むようなイメージでおこないます.

 痛くしない、出血させない、歯磨き剤を使わないというブラッシングの三原則を忘れないようにします.
突っ込み振るわせ磨き
   


歯ブラシ

 歯ブラシは極軟毛より一段階硬くて長い軟毛一列の歯ブラシを使用します.
 Kシリーズ歯ブラシ:K-1(現在発売休止)
 手に入りやすい軟毛一列ブラシはサンスターから発売されているペリオB-1です.


B歯間空隙現出期

 歯と歯の間(歯間乳頭部)の歯肉が引き締まり、歯根の露出や歯間空隙が目立つようになります.

 これが歯間空隙現出期です.


 軟毛一列の歯ブラシで丁寧にブラッシングすると、歯間部の炎症が治まってきます.

 重度の歯周病では歯根が露出して歯間部に空隙が現れてきます.

 この時期は歯肉の変化の大きい時期で、色も形も毎日のように変化していくことが確認できます.

 朝起きた時の口の中のネバネバした感じなどの不快感も次第に消失していきます.



歯間空隙 (ブラックトライアングル)

 歯間空隙の大きさは両隣の歯の接触するポイントと歯槽骨の頂上の位置で決まってきます.

 歯周炎が進行していて、歯槽骨の吸収が大きいほど炎症が消退すると歯間空隙の大きさは大きくなりますが、その大きさにひるんでブラッシングを控えてしまうと歯周炎を治すことはできません.

 重度歯周病の場合、歯間空隙の拡大は避けて通れない治癒への道筋だということをしっかり理解して、歯ブラシの毛束を歯間空隙にしっかり突っ込むようにしなくてはなりません.
 
 治療開始時、膿瘍を中心に黄色で囲んだ部分はほとんどは炎症性細胞浸潤で膨れ上がっています.
 炎症性の浮腫が消退すると歯肉のボリュームが極端に少なくなり、歯間空隙が拡大し、歯根も大きく露出してきます.(青で囲んだ部分)
 歯周病が治癒すると、歯肉は生理的な形態を取り戻し、歯肉も滑らかになり、色も健康なピンク色を取り戻します.
 《ブラックトライアングルについてはこちらもごらんください》


ブラッシング

突っ込み振るわせ磨き
 ブラッシング法は急性症状消失期と同様、突っ込み振わせ磨きをおこないます.

 歯肉の炎症はある程度改善されて、痛みも出血もあまり心配なくなっているので、歯ブラシを歯間部にしっかり突っ込むようにします.


歯ブラシ

 歯ブラシは急性症状消失期と同様、軟毛一列の歯ブラシを使用します.

 現在入手可能な軟毛一列の歯ブラシはペリオB-1(サンスター)です.


C横一文字期

歯間空隙が大きく拡大して歯肉のラインが一直線に見えるようになる時期です.
重度の歯周炎の場合は歯間部にクレーターができます.


 
 ブラッシングが的確に行われ、炎症が治まるとともに歯肉は徐々に引き締まって、それに伴い歯間空隙がさらに拡大していきます.

 歯肉の波型がなくなり横から見ると歯肉のラインが一直線にみえるようになるので、この時期を横一文字期と呼びます.

 重度歯周炎の場合には歯と歯の間の歯槽骨が大きく吸収していることが多いので、歯肉がクレーター状に陥凹し、骨の棚が目立ってきます.


クレーター

 歯周炎は炎症の進行に伴い、組織破壊が進行していきます.

 最初におこる組織破壊は歯と歯肉がくっついている上皮性の付着部分で、それに引き続き結合組織性の付着が壊され、歯槽骨と歯根膜の破壊へと続いていきます

 歯槽骨は外側(唇側、頬側)や内側(舌側、口蓋側)に比べて、歯と歯の間が破壊されやすいので、その部にクレーターができてしまいます.

 クレーターは歯間水平線維が回復することにより改善していきます.

クレーターの改善
   


ブラッシング

 横一文字期をむかえると、歯肉の炎症症状はほとんど消退しているので、ブラッシングの目的はプラークコントロールから、次第に歯肉の擦過刺激に移行します.

 歯肉の擦過刺激を目的としたブラッシング法はフォーンズ法です.


フォーンズ法
 歯の表側(唇側と頬側)は歯を噛み合わせて大きな円を描くようにして、歯と上下の付着歯肉をブラッシングします.
  
 歯の裏側(口蓋側と舌側)は前後に歯ブラシを動かして歯肉を刺激します.
このとき歯の表面もいっしょに磨くようにします.


突っ込み震わせみがき
 横一文字期には歯間部の空隙が最大限に大きくなり、重度の歯周炎の場合にはクレーターが出現します.

 この歯間空隙にしっかり歯ブラシを突っ込んで、クレーターの底まで歯ブラシの毛先が届くようにブラッシングします.

 ブラシをすればするほど空隙が大きくなり、クレーターも深くなり、どうなってしまうのだろうと恐怖心さえ芽生え始めますが、それにひるまずしっかりブラッシングしなくてはなりません.


歯ブラシ

フォーンズ法
 フォーンズ法は今まで歯ブラシをあてたことのない硬口蓋や舌側歯肉をごしごしこするので、最初は軟らかめの三列ブラシを使用します.

 軟毛ブラシでは刺激が足らないと感じるようになったら、それより硬めのブラシに変えていきます.


Kシリーズ歯ブラシ:K3
現在入手可能な三列歯ブラシ:プロスペックアダルト(軟毛)


突っ込み震わせ磨き
 この時期の歯ブラシは歯間空隙の大きさに合わせて一列か二列の歯ブラシを選択します.

 歯ブラシの毛先を歯間部にしっかり突っ込んで遊びがないような歯ブラシを選びます.

 空隙が大きくて、一列ブラシではゆるゆるの場合は二列ブラシにします.
 
Kシリーズ歯ブラシ:K2
現在入手可能な軟毛二列歯ブラ:シペリオB-2(サンスター)

*つまようじ法の歯ブラシは突っ込み振るわせ磨きには少し硬すぎるようです


Dみかけの治癒期

 見かけの治癒期とは炎症症状が完全に消退し、病状が安定した状態をいいます.

 ブラッシングは、今まで通り突っ込み振るわせ磨きとフォーンズ法を地道に続けます.

 歯間部のクレーターの底まで歯ブラシを届かせてブラッシングしていると、底部から健康歯肉が盛り上がってきて、見かけの治癒期を迎えます.

 見かけの治癒期とは炎症症状が完全に消退し、病状が安定した状態をいいます.


見かけの治癒期のポイント

1.歯肉の炎症症状の消失
1)歯肉が全面健康なピンク色(可動粘膜との境界が明瞭
2)歯間部のクレーターも徐々に消失し徐々にせり上がりはじめる
3)スティップリングの出現
4)歯肉の形態は不全(棚状になった骨のでこぼこ・骨の棚)
5)歯の動揺の消失
6)BOP(−)、ポケットデプス3mm以下

2.骨の破壊の停止と骨の再生の開始

3.油断したり体調がおちると急性症状におそわれる


ブラッシング

 見かけの治癒を迎えることができたということは、治療のブラッシングが的確になされたということに他なりません.

 今まで通り突っ込み振るわせ磨きとフォーンズ法を地道に続けます.


歯ブラシ

 横一文字期と同様突っ込み振るわせ磨きは一列か二列の軟毛ブラシです.

 フォーンズ法は軟毛か普通毛の三列歯ブラシを歯肉の状態に合わせて選択します.


E治癒

 みかけの治癒期にはまだ歯肉は凸凹があって生理的な形態ではありませんが、熱心にブラッシングを続けると、骨の棚が消失し生理的な形になり治癒期を迎えます.


 
 見かけの治癒期以降も熱心にブラッシングを続けると、骨の棚が消失し歯肉は自然な形態をとるようになります.

 そして最初はごつごつとした粗い感じだった歯肉の表面も軟らかい滑らかな感じになってきます.


ブラッシング

 この時期になると自分のブラッシングスタイルが確立しているので、これまでと同じようにブラッシングを進めます.

 歯間乳頭歯肉もある程度改善してきて、突っ込み震わせみがきは自然に予防のブラッシングであるバス法やチャーターズ法になっています.


歯ブラシ

 突っ込み振るわせ磨き(歯肉が生理的な形を取り戻し、突っ込み振るわせ磨きは自然にバス法やチャーターズ法と同じ磨き方になっていきます)とフォーンズ法はそのまま続けますが、使用歯ブラシは自分の方法に合った歯ブラシを使います.