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私(小西昭彦)は、歯科治療において自然治癒力(しぜんちゆりょく)を考慮することが大切だと考えています. それは、歯科領域にも「自然治癒力」があることを発見することで、歯科治療が大きく変わってくるからです. 歯科での「自然治癒力」を理解できると、削りすぎ、抜きすぎの近代歯科治療の真の姿が、見えてくるのです.そして、歯科治療では何をするべきなのか、ということが分かってくるのです. |
自然治癒力という用語は、近代医学に疑問を持つ人々の間で、好んで使われている用語です。この用語は、科学にアンチテーゼを唱える領域で主に使用されるので、その定義自体はかなり曖昧模糊(あいまいもこ)としており、人それぞれでその考え方が異なっています. ある面、科学に対するアンチの部分があるので、論理的な定義というより、イメージで捉えられることが多くなってしまうのは、仕方ないことなのかもしれません. このページも、私の考えている「自然治癒力」とはどういうものであるかをはっきりさせようとして、書いていたつもりでいました. しかし、そのことが患者さんには充分伝わっていないことがあったようです。 患者さんには、それぞれご自分の考える「自然治癒力」のイメージがあり、私の申し上げている「自然治癒力」とは大きな隔たりがあることが、少なく無かったようです. |
見出しの「自然治癒力」という用語を見て、ご自分のイメージしている「自然治癒力」を具現化してくれる歯科医院であると、勘違いして来院される方が少数ですが、いらっしゃいました. その結果、 「ホームページに自然治癒力とか書いてあるけれど、実際は全然違うじゃない」 と、失望させてしまう結果となってしまいました。誠に申し訳ないことをしたと思います. 私が申し上げていた「自然治癒力」というのは、「自然治癒力を働かせれば、歯を抜かずに歯周病が治る、歯を削らずにむし歯の治療ができる」ということではありません. 「抜かずに、削らずに治療をお願いします」と言われてもそれは、できない相談なのです. |
私が「自然治癒力」を考慮することが大切だと申し上げているのは、「自然治癒力」を理解することで、歯や口の健康を守るためには、今何をすれば良いかが見えてくるということなのです. むし歯の侵攻に恐れおののき、歯髄(神経)腔に懸命に第二ゾウゲ質を形成している象牙芽細胞の働きを知り、自らの免疫細胞が付着を破壊してしまったことに大慌てて修復に走った結果、かえって歯槽骨の吸収を進行させてしまう哀れでけなげな歯周組織の姿に思いをはせることで、どういう歯科治療が最適なのかが、分かってくるのです. 第二ゾウゲ質を形成して歯髄を懸命に防御しているのを助けるためには、むし歯の侵攻を外部から取り除きます.自然治癒力を助けるために「削る」わけです. 免疫システムの暴走により、歯周組織の破壊がはじまった歯周病に関しては、その暴走を止めるためには、細菌と宿主と力のコントロールが必要です。グラグラだから抜けばよいというわけではありません. 難解な専門用語が並んでしまって、良く分からない所もあると思いますが、むし歯でも、歯周病でも、歯根破折でも、自然治癒力が働いている、ということを理解していただきたいのです. 自然治癒力として、具体的に何が起こっているかを専門的に知る必要はありませんが、自然治癒力が働いていることを理解することで、患者さんも歯科医も、なすべきことが分かってくるのではないかと思います. |
このページの目次 |
*自然治癒力を忘れてしまった現代医療 *歯科治療も自然治癒力を考慮する *自然治癒力とは何か ・恒常性(恒常性・ホメオスタシス) ・原因をみつけそれを除去するのが近代医学の考え方 ・近代医学の影に隠れてしまった自然治癒力 *自然治癒力に関連する考え方 ・医療は自然治癒力の手助けをしているのに過ぎない ・ストレスと自然治癒力 ・ 我包帯す、神癒し賜う |
自然治癒力というと病気を治す特殊な力が働くというような響きがあります. しかし、自然治癒力は誰にでも備わっている、身体を安定に保とうとする力のことです. 自然治癒力という言葉が新鮮に聞こえるのは、薬まみれ、検査漬けの現代医学が完全に忘れ去ってしまった考え方だからです. 特に歯科治療ではむし歯の歯が再生したり、歯根破折が自然にくっついたりするわけではないので、現代歯科学では”自然治癒力”という考え方はまったく無視されています. 私がここで”自然治癒力”という言葉を声に出して言うのは、歯科領域では”自然治癒力”働かないと決め込んで、抜かなくてもよい歯周病の歯を簡単に抜いたり、ごく一部が割れてしまっただけの歯根破折の歯を丸ごと抜いてしまう、などの乱暴な歯科治療に警鐘を鳴らしたいからです. 歯科領域でも”自然治癒力が働くことに気が付けば、その歯科医の考え方も変わり、安易な抜歯や削りすぎなどの害が少なくなるに違いないと思います. |
むし歯でできた穴は自然にふさがらないので、歯科治療と自然治癒力は関係ないと思っている歯科医が多いようです. しかし、少し注意してみると歯科領域でもあらゆる局面で自然治癒力が働いていることが分かります. この自然治癒力を歯科領域でも十分考えることが口の健康を維持するために必要だと考えています. 第二ゾウゲ質の形成を無視して簡単に神経をとってしまったり、動揺が強いから、といって次々と抜歯してしまうのは歯科治療ではありません. 歯周病の組織破壊は免疫システムの誤作動によって起こるのですから、その誤作動を止めることが組織破壊をともなう歯周病(歯周炎)の主たる治療ということになります. 歯根破折の膿瘍形成も時間経過とともに自然治癒力により消退していきます. むし歯治療にしても、歯周病治療にしても、歯根破折の治療にしても、生体の自然治癒力を十分意識した歯科治療を行いたいと考えています. |
《自然治癒力と歯科治療に関して詳しく》 *むし歯と自然治癒力 *歯周病の炎症、歯周ポケット形成と自然治癒力 *歯の傾斜や挺出と自然治癒力 *歯の動揺と自然治癒力 *歯根破折と自然治癒力 |
自然治癒力は生体が本来持っている、身体を健康な状態に保とうとする力で、漢方にしてもア―ユルヴェーダにしても、近代医学が隆盛を極める前のヨーロッパでも、医療の根本的な考え方でした. しかし近代医学が病気の治療、特に感染症の治療において劇的な効果を見せるようになって、医療の考え方から次第に忘れ去れてしまいました. 近代医学では生体の安定を保つために恒常性が働いているという考え方がありますが、特に病気に対する恒常性の発現が自然治癒力にあたります. |
《近代医学と自然治癒力》 |
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近代医学は臨床現場では自然治癒力の考え方を忘れてしまっていますが、その根底には”自然治癒力の脈々と受け継がれています. アンドリュー・ワイルの考え方やセリエのストレス学説、アンブロワーズ・パレの箴言などにそのことが見て取れます. |
アンドリュー・ワイルは薬を飲んだり、包帯をしたからケガが治るのではなく、自然治癒力が働くことで治癒に至ると言っています. 医療は自然治癒力が働くのを手助けしてしているに過ぎないというのが、ワイル先生の基本的な考え方なのです. |
《アンドリュー・ワイルと活性プラシーボ》 |
ストレスの研究で有名なハンス・セリエが全身適応症候群(ぜんしんてきおうしょうこうぐん)と名付けた現象があります. 生体に刺激が加わったとき、その刺激に応じた特異的反応(*とくいてきはんのう)のほかに,刺激の種類とは関係なく、ストレスの3徴候と呼ばれる身体反応を起こします. 具体的には副腎皮質の肥大、胸腺リンパ組織の萎縮、胃・十二指腸潰瘍などがあります. 全身適応症候群は刺激によって引き起こされた体の歪みを正そうとして起こる体の反応で、自然治癒力の代表的なものだと考えることができます. セリエ先生は、この体の歪みをストレス、生体にストレスを引き起こす刺激をストレッサーと名づけましたが、一般的にはストレッサーを含めてストレスといっています. |
(*)特異的反応=おでこをぶつければそこが腫れて膨らんでくるというようなその刺激に対しておこる特有の反応 |
《ストレスについて詳しく》 |
近代外科学の創始者アンブロワーズ・パレが残した「我包帯す、神癒し賜う」という箴言も、外科処置で傷が治るのではなく、医者は自然治癒力が働くのを手伝っているのに過ぎないということを言っています. |
《我包帯す、神癒し賜う》 |
診療時間 | ||||||
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