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勤務医時代、某人気球団の4番バッターが診療室に来院したことがあります. 球界を代表するスラッガーの奥歯はすり減ってぼろぼろ、小さなむし歯と軽い歯肉炎がありました. しかし、本人は自分が病人だとは思ってもいませんし、世間でもその選手が健康であることを疑いません. たとえむし歯があったとしても、その年のホームラン王を争ったその選手に病気があると言うのはごくごく一部の歯医者だけでしょう. 広辞苑(第3版)をひくと、健康とは「身体に悪いところがなくすこやかなこと」と書いてあります. 小さなむし歯は厳密にいえば“悪いところ”なのでしょうが、一般にはその程度で病気とはいいません. 健康と病気の間にはどちらともいえないグレーゾーンがあり、その幅は意外に広いようです.
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アンドルー・ワイル |
健康とは人間を構成する要素が程よい秩序を保ちバランスのとれたwhole=全体(*)をなすことであると言っているのは、「人はなぜ治るのか」の著者、アンドルー・ワイル先生です.
健康は静止した状態にとどまるのではなく、相対的に健康な状態と病的な状態を交互に繰り返しています. そして、このバランスが大幅に崩れたときを我々は病気と呼んでいます. このバランスが崩れてしまった状態を元に戻そうとするのが治癒反応で、これは本来生体に備わっている力で、自然治癒力とよばれます. 自然治癒力は外から与えることはできません. したがって、最良の治療とは自然治癒力が発動されるような状況を整えるということになりますが、自然治癒力を発揮させる特別な薬や特定の方法があるわけではありません. ワイル先生は自然治癒力を引き出すために“活性プラシーボ”という概念を提出しています. 活性プラシーボは注射でも投薬でもあらゆる医療行為で引き起こすことができますが、そう簡単に発現させることはできません. 活性プラシーボを発揮させるには、医師も患者もその薬や注射などの効果を心底信じ、患者は心から担当医師を信頼している必要があります. そして、その効果が体に直接作用していることが実感できて、「あっ、何かが違う、良くなる」と無意識のうちに心の底から感じると、心の蓋がパカッと開いて自然治癒力が発揮されるようになるとワイル先生はいっています. しかし、大脳皮質の意識的な思考と、心の底との間には強固な関門があるので、そう簡単に蓋を開けることはできません. 自然治癒力を発揮させるには、こうすれば発揮できるという公式がないので、それを発現させるのはとても難しいのですが、歯周炎の治療ではこのことが結構重要なのではないかと思っています.
『真の医術とは、個々の患者に内部からの自然治癒力を最もうまく生じさせる治療法を選択し提示する、治療家の能力のことである.』 (アンドルー・ワイル)
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(*)health(健康)という言葉は、halという単語を語源とするそうです. このhalからは、hale(元気な), holy(神聖な), heal(治す) 等のほかにwhole(全体の)という単語が派生しています. 江藤裕之:Bull.Nagano Coll.Nurs.長野県看護大学紀要4:95-99,2002 |
診療時間 | ||||||
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