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一般的に”抜歯の基準”にあてはまると考えられている歯を”抜かずに治す歯科治療”ではどのように治療しているかを症例をまじえて紹介したいと思います. |
一般的に”抜歯の基準”にあてはまる歯としてはとしては、以下のようなものがあります. 一般的な”抜歯の基準” (1)歯槽骨吸収が歯根の1/3以上 (2)歯周ポケットが8mm以上 (3)動揺度が大きい (4)プローブが貫通してしまう根分岐部病変 (5)根管治療の難しい根尖病変 (6) 膿瘍がなかなか消失しない (7)むし歯が進行して残根状態になっているもの (8)骨縁下に達している歯根破折 一般的な”抜歯の基準”に関する解説 (1)〜(3)は主として重度歯周病によっておこる病変です.オーラルフィジオセラピーによって抜かずに治します. (4)の根分岐部病変の原因としては歯周病や歯髄病変や咬合性外傷が考えられます. 歯周病に関してはオーラルフィジオセラピー、歯髄病変に関しては根管治療、咬合性外傷では力のコントロールをおこないます. (5)は感染根管によっておこる病変ですが、歯根破折でも似たようなX線像を示すことがあります. 感染根管の場合は根管治療を丁寧におこなうことで治すことができます. (6)膿瘍は歯に感染経路があることで、歯肉におできのようなできものができる状態です. 膿瘍形成の原因としては歯周病、歯根破折、感染根管などが考えられます. それぞれの原因疾患に対する処置をおこないます. (7)残根というのは、口の中に出ている歯がほとんど残っておらず、根だけになってしまった状態です. ある程度歯根膜が残っていれば、現代の歯科材料と技術を用いれば、修復するのはそれほど難しくはありません. (8)歯根破折というのは、歯ぐきの中に埋まっている歯(歯根)が割れてしまうことです. 特に根の先端まで真っ二つに割れてしまっていると治療は難しくなりますが、それぞれの状態に応じた治療をおこないます |
歯の根の周り根がレントゲン写真で黒くなっているときは、歯周病により歯を支えている歯槽骨が吸収している可能性が高くなります. オーラルフィジオセラピーをおこなうことで歯槽骨が改善することができます. |
@第二大臼歯の歯根周囲が黒変しています(黄色矢印). 歯槽骨吸収が進行して、ほとんど骨支持を失っている状態です. Aオーラルフィジオセラピーをおこなうことで歯槽骨の改善を認めました.(水色矢印) |
歯周ポケットが5〜6mmを越えてくると手術や抜歯の対象となってきますが、そのような外科的な処置をしなくても、オーラルフィジオセラピーをおこなえば、十分抜かずに治すことができます. |
@膿瘍(黄色矢印)を形成した重度歯周病の歯です. 歯周ポケットからの排膿(水色矢印)も認められます. 歯周ポケットは膿瘍の位置から考えても、8mm以上あると考えれらます. A歯周病治療を進めることで、歯肉はピンク色で滑らかな健康な歯肉になりました. 歯周ポケットは完全に消失しています. |
動揺度が大きい歯は、歯周病で歯槽骨が吸収している場合と、咬合性外傷をおこしている場合と、歯根破折をおこしている場合とが考えられます. 通常、それぞれの病態が混在している場合が多いようです. 動揺を引き起こしている原因を見つけ出し、それに対する治療を行うことで、動揺を止めることができます. 歯周病ではオーラルフィジオセラピーを、咬合性外傷ではそれに対するアプローチを、歯根破折に対してはその治療を行います. |
@上顎の第一大臼歯. 骨支持をほとんど失っており、舞踏状に動揺しています. 歯周病が重度に進んでおり、何軒もの歯科医院で抜歯と言われました. Aオーラルフィジオセラピーをおこなうことで、歯槽骨が改善し、動揺もおさまりました. |
《オーラルフィジオセラピーについてはこちら》 |
大臼歯は通常歯根が複数あります. それらの根と根の間は歯槽骨で埋まっていますが、その部位の付着が破壊され、歯槽骨の吸収がはじまったものを、根分岐部病変といいます. 分岐部病変も通常の歯周病の処置をすることで抜かずに治せます. |
@分岐部病変が高度に進行して、歯槽骨支持を大幅に失っています.(黄色矢印) 完全にプローブが貫通してしまう3度の状態です.(青矢印) 早く抜かないと隣の歯もだめになってしまうと言われていました. A根分割をして、オーラルフィジオセラピーをおこなった結果、歯槽骨は改善してきました.(黄色矢印) |
《根分岐部病変について詳しく》 |
レントゲンで歯根の先端に黒い像ができている場合、根尖病変を疑います. 特に感染根管由来の根尖病変と歯周病と合併したようにみえるペリオエンドの症例は、従来抜歯の対象になっていましたが、丁寧な根管治療を行うことで、問題なく解決することがほとんどです. |
@歯根の周囲が黒っぽく透過像が増しています.この部の歯槽骨が吸収して、ペリオエンドも疑えます. A通法通り根管治療を行うことで、歯槽骨が改善して、不透過増が増してきました.歯周病というより根尖病変の問題だったようです. |
歯肉がおできのようにプックリ膨れたものを膿瘍と言います. 膿瘍を形成する主たる原因としては、歯周病、根尖病変、歯根破折などがあります. 原因が歯周病や根尖病変の場合は適切な治療をすれば膿瘍の消失はそれほど難しくありませんが、歯根破折の場合その治療は難しくなります. 逆に言うと、いくら一生懸命根管治療をしても膿瘍が改善しない場合は歯根破折を疑った方がよいということになります. 歯根破折だけでもその治療は難しいのですが、膿瘍を形成しているとさらに困難になります. しかし、歯科医のもっているできる限りの知識と技術を駆使し、歯ぎしりなどを改善する患者さんの努力によって、抜かない治療は可能だと思います. |
@膿瘍が長い間消えませんでした.相談に行った4軒の歯科医院すべてで抜歯するように言われました. A分岐部の骨吸収もはなだしく、抜歯の判断をした歯科医を責めることはでないでしょう. |
@根を分割することで膿瘍は消失しました. A歯槽骨も改善してきて5年以上何の問題もなく使っています. |
《膿瘍に関してはこちら》 |
むし歯で歯冠部が崩れ去り、歯根だけがかろうじて残っている状態を残根状態といいます. このような状態になると、ほとんどの歯科医が抜歯というのではないかと思います. X線で歯根の長さがあり、軟化ゾウゲ質の量が比較的少ない場合コンポジットレジンとファイバーコアにより歯冠修復できることも多々あります. |
@クラウンが脱落したあとの状態で、歯質はほとんど確認できません. A歯肉を丁寧に圧排して、ファイバーコアを利用して冠を作りました. |
歯根破折の治療は重度歯周炎や根尖病変に比べると難しくなります. 治療法としては破折片の除去、内部接着、外部接着、根分割などさまざまな治療法があります. 治療が難しいといってあきらめずに、歯根破折の状態に合わせた治療を考え、抜かずに保存する可能性を探ります. |
@近遠心的(縦方向)に歯根破折した歯が膿瘍を形成しています. A破折部を内部接着することで膿瘍は消失しました |
B補綴物が取れたあとの咬合面観です.内部にむし歯が茶色く広がっています. Cむし歯を除去すると破折線が見えてきました(青矢印) |
内部接着で膿瘍が消えるとともに遠心部(奥側)の骨吸収(黄色矢印)も不透過像が増して(白くなって)きました.ある程度改善してきたように思えます. |
@上顎第一大臼歯の手前内側(近心から口蓋側にかけて)の一部が破折しています.(黄色矢印) A破折部が比較的小さかったので、破折片を除去して冠をかぶせました. |
《歯根破折に関してはこちらもごらんください》 |
ごくまれなケースですが、歯の内部吸収、外部吸収とよばれるものがあります. 原因ははっきりわからないのですが、歯の内部や歯根の一部が吸収してしまう疾患です. 原因が不明なので手の打ちようがないのですが、この場合もあきらめて抜いたりせずに、感染部を除去するなどできる限りの努力をして、生体の応答を待ちます. |
3軒の歯科医院と大学病院で”抜歯”と言われました. 抜かないでできるだけのことをやってみることにしました. |
なるべく感染を除去すべく、根管治療を行ったところ膿瘍は消失しました. |
X線写真では左上中切歯の歯根に陰影が認められます. 内部吸収が疑われます. |
根管治療をおこなうことで、透過像が薄れてきたようにみえます. |
診療時間 | ||||||
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
AM | 〇 | 〇 | 〇 | / | 〇 | 〇 |
PM | 〇 | 〇 | 〇 | / | 〇 | 〇 |
AM|午前9:00〜12:00 PM|午後2:00〜5:00 |
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休診日|木・日・祝祭日 |
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