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「片山先生の診察で、いろいろびっくりさせられたが、一番は『歯は臓器の一つです』といわれたこと」と大石さんがいう。当り前のことをなぜ驚いたのか。 評判の高い静岡市の歯科医に、三本抜くといわれていた。遠からずの総入れ歯、とも。「なんとか抜かずに」と片山恒夫歯科医に訴えながらも、「どうしてもダメなら、抜けばいい」という考えがチラチラかすめていた。その心底を片山さんにガンとやられた−という。 「胃が悪ければ胃を、耳が悪ければ耳を取る。もしそんなことをされたらかなわない。歯だって同じことなのに。確かに私は歯を他の臓器並に大切なものと考えてなかったんだ」 歯は体の一部だ。歯が悪ければ食べ物を噛む力が弱まって、胃腸への負担を増やし、生命を縮める。歯から伝わる神経で、舌とは別に食べ物の味をかみしめているから、入れ歯にすると人生の愉しみが減る。 逆に、体の健康・不健康は歯に響く。睡眠不足が歯ぐきにきて、うずきはれるのを、大石さんも気付いていた。このような、全身と歯の関係を、私たちはつい忘れてしまいがちだ。 私たちは文明に囲まれ、体がひよわになりやすい。その悪影響は歯ぐきを含め、とくに原始的な器官である歯にもろに現れやすい。だから歯の病気は、全身の改善が必要−と片山さんは熱心に教えた。 具体的には−。すこしずつ、かむ能力を強める。最終的にはメザシ、ゴボウ、レンコン、それにリンゴの丸かじりなどに進が、グラグラで重症の、大石さんの「絶対安静」の歯には当時無理だった。で、はじまりは玄米の三分がゆ。これを一口につき五十回ずつかむ。 白米だと少しかむだけでとけてしまう。つい飲みこむ。玄米ならカスが残るので、なんとか五十回かめる。同時にツバの分泌もよくなる。栄養学的にもよい−片山さんが四十年の臨床経験が編み出した”自然食療法”だ。歯の安静度がゆるやかになると、五分−七分−かたがゆ−玄米食に移行した。おかずも野菜やつけもの、小魚など日本古来の食物を多く、との指示。大石さんは一口五十回を必死に守り続けた。仕事場にも、ジャー式の弁当に玄米がゆをつめて通った。 歯のかみあわせを治した後、体操に力士のやる「鉄砲」を指示された。右足を出しながら左手で、柱を押す。次は右手で押す。自然に、歯に力を入れる。上体の筋肉全体の訓練になる。これとは別に、靴のひもを結ぶとき、荷物を持つときなど、身をかがめたら肺の空気を吐きつくす「呼吸法」も日に数回やれといわれた。「とくに呼吸は、ぼくの歯の症状に敏感に影響しました」 これらの努力を、大石さんがよく続けたものだ。しかし、そのカゲに、片山さんの老巧な心理的バックアップがあって、文字通り陰となり日なたとなって、大石さんを支えた。 =歯無しにならない話 P19-21 朝日新聞科学部 1984年発行= |
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