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歯科治療は歯を抜くことからはじまったので、どうしても歯を簡単に抜いていまう傾向があります. しかし、1980年代に“片山式歯周病治療”が知れ渡るようになり、いっとき、“歯を抜かない治療”を目指す歯科医が増えてきました. それとともに、どのような歯なら抜いてよいのか、という疑問が頭をもたげてきました. |
歯を救うのに熱心な片山恒夫歯科医は、いったいどんなとき「いくらなんでもこの歯は救えない」と判断するのだろう。何人かの歯周病専門家が、いぶかる。そこで、この質問を片山さんにぶつけた。 「よく問われますが、簡単には答えられないんですわ」 そこで根掘り葉掘りたずね、わかった要旨をご報告する。 歯の根は、歯ぐき中の歯槽骨に埋まり、支えられている。歯周病で骨が溶けると、根の支えが減る。この様子はエックス線写真などでわかる。 大ざっぱな指標として、片山さんは「患者にその気があれば、根が四分の一まで骨に埋まっている歯なら残せる」と自信を持っている。骨が、歯根の四分の三まで溶けてしまっているという状態だ。根が複数なら平均値を採る。一ヶ所極端に悪い所があっても構わない。うんとぐらぐらしている歯が多い。それでも、残せる。 他の歯科医で、抜くと宣言された歯は、多くが「三分の一」という。多少ぐらつく程度で、十分救える歯だ。半分近くが残っていて抜くと言われた例もある。「エックス線写真を見せてもらえれば、患者でも見当がつきます」と片山さんはいう。 |
さて、では残りが四分の一以下の場合はどうか。 「条件によりますねえ」急に悪くなったのは回復しやすい。比較的若ければ救いやすい。ずっと紹介した大石正人さんの歯は、この例だ。逆に、糖尿病だと骨が溶けやすい。他の歯とつなげて固定し、安静をはかれない「孤立した歯」は難しさが増す。それに患者の怠けぐせ。治療費の限界。患者の協力・・・・・。 これらの条件のすべては、最初はわからない。だから「抜かずに」と希望されれば、ブラッシングや五十回噛み、呼吸法など養生の指導を始める。だんだん悪条件が重なるとわかってきたら?「そしたら悪条件を一つずつ取り除こうとしますな」糖尿病の治療を励ます。家族に協力を頼む。患者の怠け心を防ぐ。口の中の条件も、できる工夫をすべて試みる・・・・。「抜いてくれ」と来る患者には「抜かなくても治療できますがなあ・・・・」と反応をみる。きっかけをとらえて、片山式養生に誘導する つまり実際上、あきらめて抜くことはないのだ。片山さんのこの項の答えをもう一度吟味していただきたい。答えはすべて、「その人の歯を救うには・・・・」という発想から、口に出されたものだった。「抜かねば」などというあきらめの発想は片山さんの辞書にはないのである。「歯科医の責務は、あきらめて抜く基準を設定することではない。歯を残すために腕を磨くことです」 この片山さんの努力の成果は、どうか。歯周病患者が百人近くいて、抜歯は年2〜3本にとどまる。実際上、美容上または症状のつらさから、強く義歯を望む患者に限られる。 途中で来なくなる患者が、一割ほどいる。残りの九割の人々の歯は、まず失われずにすむ。「二年半前、六本固定して八年もっていた歯が、患者の糖尿病闘病の意欲喪失ののち、ぞろっと抜けた。この五年で、私の患者の歯が抜けたのは、これだけです」 この片山方式の普及を、なんと多くの患者が望んでいることか。歯科医たちの開眼と、ふんばりを祈りたい。 =歯無しにならない話 P52-54 朝日新聞科学部 1984年発行= |
診療時間 | ||||||
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