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当時歯槽膿漏と呼ばれていた進行した歯周病の治療において、プラークコントロールや歯石除去など細菌に対するアプローチだけでは、十分な成果があがらないことに片山先生が気づいたのは1960年代でした. 欧米の歯周病学者が歯周炎の発症因子として宿主因子に注目し始めるのが1990年代ですから、そのはるか以前ということになります. 片山先生が歯周病に関連する要因として注目していたのが現代人の食生活です. |
片山先生は、歯周病の発症進行には、よく噛んで食べないことに一因があると考え、歯周病の治療として“一口50回噛み”を推奨していました. 食品の形態あるいは調理法を変え、その歯の実力に合った食品を文字通り一口50回良く噛むことにより、唾液を十分に分泌させ、組織の抵抗力を増強させることで歯周病の改善を図ろうとしました. |
食生活と身体の退化 |
軟らかいもの、口当たりのよいものを好んで食べる近代文明食では歯周組織に対する刺激が足らず、それによって組織が脆弱化して歯周病の発症、進行を招いている可能性があることを、片山先生はプライス先生の「食生活と身体の退化」から読み取りました. また砂糖の過剰摂取、加工食品、インスタント食品、高カロリー、添加物まみれの食事など、現代の食生活の乱れが全身の健康状態に影響を与え、それが歯周病の発症進行と関係しているとも指摘しています. そのような食生活の乱れによる生体の脆弱化を打破するために“1口50回噛み”で歯周組織を賦活して、全身の抵抗力を増強することで進行した歯周病に打ち勝とうと考えたのでした. |
WA.Price(プライス) |
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歯周病の病因がはっきりせず、全身病因説、局所病因説などが入り乱れていた時代には、「歯周疾患と栄養」というテーマは興味深い研究対象の1つとして注目されていました. 片山先生も当時、保健所における栄養指導などからこの問題の重要性を感じ、WA.Price(プライス)の著書「Nutrition and physical degeneration」(食生活と身体の退化)と出会い大きな影響を受けました. プライスは食生活の変化による齲蝕の多発と顎の変形、歯列不正の増加が顕著であることを3000枚にもおよぶ写真と綿密な調査記録により明らかにしました.その変化は口腔だけにとどまらず、障害児、死産の増加など身体の変化や精神病や少年非行、殺人犯など人間の精神や行動にまで影響を与えていることを指摘しました. このフィールドワークから引き出された「食習慣、食餌内容が歯と歯列をはじめとした口腔諸組織を病気に陥れる主因である」という結論が、片山先生が考えていた「食をはじめとした生活習慣が組織抵抗力を減弱させる」という考えと同様であったので、「食生活改善」が「ブラッシング」のほかに自然良能賦活療法のもう1本の柱として新たに付け加えられるようになりました. |
診療時間 | ||||||
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