今から50年くらい前、歯肉に始まった炎症は時間経過とともに悪化して、歯肉の付着が壊され、歯周ポケットから膿が出てくるようになり(歯槽膿漏)、最後には歯槽骨が溶けて歯が抜けてしまうと考えられていました. 当時、歯肉の炎症も歯周組織破壊ともなう歯周炎も原因はプラーク(細菌のかたまり)だけだと考えられ、歯周病の治療としてプラークコントロールの徹底が強く叫ばれていました. したがって、1960年代のこの時代は、”細菌がすべて=plaque is everything”の時代といわれています. |
R.C.Page先生 |
しかし、歯周病を臨床的に観察していると、歯肉炎の症状が重度であるのにも関わらず、歯槽骨が溶けていない人がいる一方で、それほど歯肉に炎症症状が認められないのに、歯槽骨の破壊が重度に進行している人がいることが観察されるようになったのです. つまり、歯周病(特に歯周炎)の発症、進行は細菌だけでは説明がつかないことが分かってきたのです. 「歯肉炎はいつどのようにして歯周炎へ進行するのか」という問いが長い間歯周病学者を悩ませている.(R.C.Page) この言葉に代表されるように、歯周炎の発症と進行に関しては詳しいことは分かっていませんでした. そこで、20世紀も後半になると、歯周炎の発症は細菌だけでなく、他の要因が関与しているのではないかと考えられるようになりました. 歯周炎への感受性を高める要素として注目を集めたのが、宿主因子、リスクファクターとよばれるものです. |
(*)Page RC, Offenbacher S, Schroeder HE, Seymour GJ, Kornman KS. Advances in the pathogenesis of periodontitis: summary of developments, clinical implications and future directions.Periodontol 2000. 1997 Jun;14:216-48. |
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歯周炎の発症、進行に関わる要素として注目をあびたのが、細菌に対する個体の感受性です. 細菌の刺激に対して感受性の高い人が歯周炎を発症し、低い人は発症しないのではないかという考え方です. 宿主応答に関連する因子(宿主因子)としては、喫煙習慣や食習慣などの生活習慣、糖尿病などの全身疾患、ストレスや加齢などがあげられています. これらの因子は歯周炎の危険因子(リスクファクター)ともよばれています. 現在、歯周炎の発症と進行は、歯周ポケットに棲息する細菌の存在下で宿主因子が局所の免疫応答の誤作動を引き起こし、それによって歯周組織の破壊がおこると考えられています. 私たちは、安保免疫論を根拠に、この誤作動を引き起こす要因として、ストレスが大きく関わっているのではないかと指摘しています. |
歯周炎の原因ではありませんが、歯周組織を破壊させる因子として、「力の因子」があります. 歯は噛むことでその機能を発揮しますが、そのとき歯に力がかかります. 特に硬いものが好きな方は歯に大きな負担をかけていることが多くなります. その歯が負担できる以上の力(外傷性の咬合力)がかかると、その歯の支持組織は咬合性外傷をおこします. この咬合性外傷による組織破壊と歯周炎による組織破壊が合併すると急激に組織破壊が進行してしまいます. 特に、「歯ぎしり」や「噛みしめ」などの不良習癖では、とんでもない力が歯に加わるので、歯周炎が急速に拡大していくことがあります.. 歯ぎしりや噛みしめは歯牙接触癖に引き続き起こると考えられます. 歯周炎の治療ではこれらの不良習癖の克服も重要になります. |
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